あらすじ

小学校の適応指導教室で働く黒川カンナは、教員免許を持たない非常勤指導員。 かつて自身が傷ついた学校という場所で、昭和気質の教師・ポン先生(ホンダ先生)とともに、子どもたちの居場所をつくろうとしている。しかし、熱血すぎる指導は今の子どもたちには届かず、適応教室に足を運ぶ児童はほとんどいない。 それでもカンナは校内を歩き続ける。 困りごとを抱える子どもに、声をかけられずにいる親に、そっと近づくために。 三年生のヒナタは、授業を乱す行動を繰り返していた。 理解しようとせず担任を責める父親の言葉に、教師は心を折られ辞職。教員不足のなかで授業は崩れ、保護者の不満はヒナタ一家へと向けられていく。 追い詰められた母・涼子。 昼夜逆転、ゲーム依存、激しい癇癪。家庭の問題はすべて母親一人に押し付けられ、夫は仕事を理由に距離を置く。 カンナだけが、涼子の話を遮らずに聞き続けていた。 相談窓口、フリースクール、病院―― 助けを求めて訪れる先々で返ってくるのは、「お母さん、無理しないで」という言葉ばかり。具体的な支援は得られず、涼子は限界へと追い込まれていく。 やがて、親子は死を選ぼうとする。 しかし命はつながり、ヒナタは保護される。その過程で明らかになるのは、ヒナタが「言葉を文字通りに受け取ってしまう特性」を持っていたこと、そして大人たちの何気ない言葉が、どれほど彼を追い詰めていたかという事実だった。 ヒナタは、学校の適応指導教室に通い始める。 昭和的な価値観を持つポン先生と、現代の感覚で親子の間に立つカンナ。 完璧ではない大人たちが、失敗を重ねながらも「わかろうとする」日々が始まる。 この物語は、問題行動を起こす子どもを裁く話ではない。 「助けを求める声は、なぜ届かないのか」 「母親は、どこまで一人で抱え込まなければならないのか」 苦しい現実を描きながらも、最後に残るのはささやかな希望。 誰かがそばにいて、話を聞くこと―― それだけで、人生は少しずつ立て直せるのかもしれない。

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小説を読もう2026/02/01
  • 現在の作品適応教室指導員 ポン&カン ~「助けて」と言えなかった親子のための教室~ ここは孤独と向き合う最前線です