あらすじ
三年前、霞が関に突如出現した「ダンジョン」は、日本という国家の在り方そのものを変えた。
魔物、スキル、レベル、魔核――かつては物語の中だけの存在だったそれらは、法と制度に組み込まれ、管理され、そして経済を動かす現実となった。
和歌山に暮らす高校生の兄と中学生の妹、そして看護師として家庭を支える母。
海外勤務の多かった父は離婚後、海外で再婚し、家族の距離は静かに、しかし確実に離れていった。
父の趣味で作られた地下室付きの一軒家は、どこにでもある地方の家だった――その日までは。
兄が16歳になり、同級生たちが次々とダンジョン冒険者資格を取得していく中、
「強くなること」「力を持つこと」は、選ばれた者だけの話ではなくなっていく。
そしてある日、
自宅の地下室に“ダンジョン”が発生する。
弱い魔物しか出ない。Eランクだろう。
誰もがそう思った。
だがそのダンジョンには、終わりが見えない階層が存在していた。
兄は鑑定眼と剣を、
妹は錬金術と魔術と無限のアイテムボックスを、
それぞれ授かった“生き方の結果”として。
国家管理のダンジョンと、
誰にも知られない自宅ダンジョン。
これは、
家族を守るために強くなろうとする兄妹と、
世界の裏側で静かに深く潜り続ける“底なしダンジョン”の物語。