あらすじ

神話の皇帝ではない。 これは、剣の重みと帳簿のインクに鍛えられた――ひとりの男の生涯である。 15世紀の神聖ローマ帝国。倹約と忍耐とで王朝を保った父のもとに生まれたマクシミリアンが持っていたのは、背負った名前と現実に向き合う力だけだった。沈黙の少年はやがて君主となり、騎士道の栄光と、傭兵軍の請求書――その双方を折り合わせねばならなくなる。 彼が握ったのは槍だけではない。統治機構の改革、遠征資金の調達、婚姻という賭け。戦場の突撃と同じ重さで、商家の勘定台が歴史を動かしうることを、彼は知っていた。崩れゆく中世の瓦礫の上で、彼はやがて「太陽の沈まぬ」王朝となる家門のために未来を買い、その礎を築いた。 本作は、マクシミリアン一世を伝説の英雄としてではなく、未来のために自らの尊厳を担保に差し出した統治者として描く伝記小説である。 栄光ではなく、支払いを。 英雄ではなく、変わりゆく世界の重荷を引き受けた皇帝の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/02/01
  • 現在の作品マクシミリアン一世 ―― 剣と帳簿のあいだで