あらすじ
手紙はそんな一文で結ばれていた。
最後まで読み上げた少女はまだ、便箋に目を落としたままじっと項垂れている。
「……ありがとう」
私はなんとかそう返したけれど、胸の中はぐちゃぐちゃに渦を巻いて、それなのに痛いほど静かで、吹雪に足を取られたみたいに息が苦しかった。
「……ねえ、」
私は口を開いた。喉まで迫り上がった氷を、吐き出すように。
「嘘、なんでしょう? この手紙」
「あれから親切な人に助けられて、満足いく人生を過ごせたっていうのも」
「治らない病気になってしまったから、親切な旅の人にこの手紙を託したっていうのも」
「……だって兄さんは、一度も私を『君』なんて呼ばなかった」
「どんなに悲しいことでもいい。本当のことが知りたいの。ねえ……兄さんは、本当はどうやって死んだの?」
ぱたぱた、と紙を濡らす音がした。
「勇者」だった少女はひゅうと息を吸って、涙が胸に詰まったみたいに咳き込んで、それから吠えるように言った。