あらすじ
「申し訳ありません、この部屋は……うるさすぎて片付けられません」
常に純白の手袋を外さない遺品整理師、片寄桜(かたよせ さくら)。
彼女には、物に残された持ち主の想いが「テキスト」として視えてしまう秘密があった。
今回依頼されたのは、孤独死した偏屈な老人のゴミ屋敷。
「金目の物以外は全部捨ててください。どうせロクな親父じゃなかった」
そう吐き捨てる息子に対し、桜は静かに首を横に振る。
なぜなら彼女の視界には、ボロボロの柱時計にも、薄汚れた日記帳にも、息子への不器用すぎる『愛』が、画面を埋め尽くす弾幕のように溢れていたからだ。
触れるたびに文字が浮かび、解読するたびに涙が溢れる。
言葉にできなかった想いを届ける、優しくて切ないお仕事ミステリー。