あらすじ
鍵はスマホ
扉は外側からしか動かない
窓のない防音ブースに、結城直人は閉じ込められた
解除には登録者の声が必要だという
なのに本人が話しかけても認証されない
代わりにスピーカーは淡々と繰り返す
同じ言葉で、と
直人は実業家で、誰にでも優しい
可愛いね、好きだね
その言葉は軽いのに、残る
残ってしまう
助けを求められたのは、唯一の女友達 黒木玲奈
さっぱりした顔で、ねちっこく確かめる女だ
何を言ったの
誰に言ったの
その順番は
密室の中に残るのは、解錠の痕跡と
声と
ほんの小さな息づかい
誰かが扉を閉めたのか
それとも、直人が自分で閉めたのか
あるいは、閉じたのは扉じゃないのか
優しさは、いつから檻になるのだろう
現代ガジェット密室 本格長編ミステリ
鍵はスマホ
声は誰のもの