あらすじ

日本で当たり前だった「ルール」「責任範囲」「正解」が、ここでは通用しない。 現地採用の日本人プロジェクトマネージャーである私は、タイの工場建設現場に立たされる。 そこでは、工程表も指示書もなく、英語も日本語も通じない労働者たちが、身振り手振りだけで作業を進めていた。 日本では、条件を定め、責任範囲を区切り、ミスが起きても修正のカードを切ることができた。 しかしこの現場では、条件も範囲も曖昧なまま、問題が起きれば「その場で何とかする責任」が延々と続く。 配車アプリの表示価格と、交渉次第で変わる言い値。 お金で解決すれば関係が終わり、関係を続ければ責任が残る世界。 正しさよりも、関係性が優先される現場。 合理的な判断をしたはずなのに、なぜか空気が変わる。 工程を引き直しても、現場はその通りに動かない。 「正しいことをしたはずなのに、何かを壊してしまった気がする」 これは、異世界に転生したわけでも、特別な能力を得たわけでもない。 ただ、日本の“表示価格の世界”で生きてきた人間が、“言い値と関係性の世界”に放り込まれただけの物語。 戸惑い、混乱し、何度も間違えながら、 それでも現地で生き延びる方法を探していく。 これは、海外で働くすべての人に起こりうる、 静かでリアルな異文化サバイバル記録である。

連載情報

ウェブ小説

配信言語
小説を読もう
小説を読もう2026/02/01
  • 現在の作品表示価格の世界と言い値の世界