あらすじ
「死ななきゃ安い、生きてりゃ美味い」
蘇生魔法も、瞬時に傷を癒やす聖女も存在しないシビアな辺境。
冒険者にとっての勝利とは、魔王を倒すことではない。五体満足で酒場に帰り、冷えたエールと温かい煮込み料理を腹に入れることだ。
少し値は張るが、極上の料理と酒を出す酒場「錆びた剣亭」。
その指定席には、今日も三人の「錆びた剣(ベテラン)」たちが陣取っている。
* **戦士ガンツ(50代)**
孫への仕送りのために斧を振るう、涙もろい筋肉ダルマ。
「完璧な作戦だったな」と笑うが、だいたい筋肉で強引に解決している。
* **斥候ゴド(100歳越え)**
元衛兵隊長のドワーフ。論理と計算を愛するが、酒が入ると批判が止まらない。
「逃げるが勝ち」を信条とし、誰よりも速く戦略的撤退を指揮する。
* **魔法使いフィス(年齢不詳)**
過去に英雄だった疑惑があるエルフだが、今は隠居生活を満喫中。
「魔法は便利だ」と言いつつ、なぜか杖で殴ったほうが早いことが多い。
彼らは正式なパーティではない。だが、その連携は芸術的で、手段は驚くほど泥臭い。
功名心に流行る若手冒険者がピンチに陥った時、彼らはため息をつきながらも介入し、老練の技術と汚い手と暴力的な物理攻撃で「生還」させる。
「英雄になんてなるもんじゃない。肩は凝るし、酒は不味くなる」
これは歴史書には残らないが、酒場のツケと若者たちの記憶にはしっかり残る、愛すべき酔っ払い達のオムニバス・ストーリー。