あらすじ
古代エジプト遺跡の発掘調査に参加した考古学者は、
年代的に存在するはずの文明の痕跡が、ある時期だけ完全に欠落していることに気づく。
戦争の記録も、王の名も、神話すら存在しない。
破壊された形跡はある。
だが、それを壊した「何か」だけが、文字にも絵にも残っていない。
発掘を進めるうち、研究者は奇妙な事実に辿り着く。
この文明は滅ぼされたのではなく、
「記録すること自体が不可能な存在」によって消されたのだと。
後世の人類が見つけるのは、
栄光でも、滅亡の物語でもない。
ただ一行――
「この時代、何も存在しなかった」
だがその空白こそが、
人類史上最大の悲劇の証明だった。