あらすじ
物を大切にしなさいと教わって育った。
だから王宮で壊れた魔道具を見るたびに胸が痛んだ。
けれど婚約者の王子は収納魔法の容量だけを自慢し、中身を管理しようとはしない。
その果てに私は無能だと罵られ、着の身着のままで放り出された。
寒空の下で出会ったのは、呪われていると噂される英雄ディラン。
彼の背負う亜空間からは異臭が漂い、中に入れた宝物が腐敗して毒ガスを生んでいた。
誰もが恐れる呪いの正体は、ただの整理不足。
私が収納の中へ手を突っ込み、腐った竜の心臓を取り出したとき、英雄は膝をついて懇願した。
俺の人生を管理してくれ。
Sランク冒険者なのに片付けられない男と、収納魔法は使えないけれど整理整頓のプロである私。
ガタつく馬車を物理法則で静かにし、錆びた聖剣をスライムの油で蘇らせる。
魔法に頼り切ったこの世界で、私たちだけが知る手触りのある旅が始まる。
捨てられない思い出と、増え続ける荷物。
開かずの箱に隠された秘密を暴くとき、二人の関係はどこへ向かうのか。