あらすじ
※ざまぁあり/ハッピーエンド/甘さ強め
「あなたは身を引くべきよ。クラウス様は私を愛しているの」
五年間、無口な婚約者のために薬を作り続けた。体の弱い彼が少しでも楽に過ごせるように、毎月欠かさず届けた。
愛の言葉は、一度ももらえなかった。
だから——彼女の言葉を、否定できない。
今夜の夜会で、私は婚約破棄を申し出る。彼が幸せなら、それでいい。私はただ、静かに消えるだけ。五年分の想いは、処方箋の束と一緒に置いていく。
けれど、その処方箋が——思わぬ形で、彼の手に渡ってしまった。
「俺以外と結婚するな」
無口な彼が初めて声を荒げた夜、私はようやく知る。
愛されていないと思っていたのは、私だけだった。