あらすじ
竜と森、魔法と科学が交わる世界。その百年前。
龍族の父とエルフの母のもとに生まれた少年は、誕生の夜に竜の加護と森の芽吹きを受ける。しかしその意味を知ることなく、穏やかな幼少期は炎によって引き裂かれる。
世界を進めるために生み出された魔王と、その軍勢による襲撃。少年は目の前で父と兄を失い、母もまた命を賭した生命魔法によって息子を守り、静かに散った。
すべてを奪われた夜、少年は誓う。
――魔王に辿り着き、この理不尽に決着をつけると。
長命の血を持つがゆえに、少年は多くの時代を生き、多くの別れを見届ける。旅の中で魔王の部下と戦い、力を得て、やがて龍としての限界を越え、竜の眼を宿す存在へと近づいていく。しかし魔王は単なる破壊者ではなかった。世界の停滞を打ち破るために生まれた存在であり、その行動には歪んだ理があった。
復讐の刃を握ったまま、少年は問われ続ける。
――滅ぼすべきは魔王か、それとも世界そのものか。
数度の死線を越え、ついに辿り着いた魔王との対峙。その果てに待つのは、勝利か、喪失か、それともまだ名のない選択か。
これは、家族を失った少年が魔王に辿り着くまでの物語。
そして、やがて芽吹く未来へと続く、始まりの記録である。