あらすじ
戦国の覇権を争ったのは、武力だけではなかった。
形式を貫いた者、法を整えた者、善を優先した者、破壊を選んだ者、欲で繋いだ者、安定を築いた者。
それぞれが「これこそが正しい」と信じた思想は、
ある者には天下をもたらし、ある者には崩壊を招いた。
今川義元は例外なき法で人を縛り、
武田信玄は完成された統治を後継に託し、
上杉謙信は損得より先に人を見た。
織田信長は旧き世界を壊し、
豊臣秀吉は人の欲で世を繋ぎ、
徳川家康は変化を止めて平和を残した。
彼らは誰一人、愚かではない。
ただ、自らの正しさを最後まで手放さなかっただけだ。
歴史をなぞる物語ではなく、
思想の行き着く先を描く戦国六篇。
これは、過去の英雄譚ではない。
いまを生きる私たちが、何を選ぶかという問いである。