あらすじ
正しい未来のために、歴史の歪みを書き換る「聖女」でありながら、陛下は一度も私にその役目を許してはくれなかった。
無能、役立たず、偽物――向けられる蔑みの言葉。陛下もまた、私をそう判じているのだろうと思っていた。
やがて、世界の歴史を刻む「星刻書」に浮かび上がったのは、私の死だった。
私がいなくても、世界は廻る。
私は役立たずの、ただの無能でしかないのだから。
だからその運命を誰にも告げず、その時を静かに待っていたのに。
暗殺者から私を庇い、命を落としたのは――陛下だった。
本来、死ぬはずだったのは私なのに。
なぜ彼は、私を守ったのだろう。こんな役立たずを、どうして。
陛下暗殺の濡れ衣を着せられ、処刑される間際。
だから私は決意する。
自分の命と引き換えに、過去へと死に戻ることを。
それが聖女としての禁忌だと知りながら。
今度こそ、彼を死なせないために――。
※表紙イラスト:鰹野 烏帽子様