あらすじ
「おめでとう。今日からあんたは、一人の『同居人』だ」
女手一つで息子・明宏を育て上げた秋山和江、五十二歳。
祝いの赤飯でも、温かい言葉でもなく、彼女が就職初日の息子に差し出したのは一枚の「契約書」だった。
【生活費月五万円】【家事の徹底分担】【遅延は一切認めない】
「冷たすぎるだろ!」「嫌なら出て行きなさい」
昨日までの優しい母はどこへ行ったのか。
豹変した母との、息の詰まるような「共同生活」という名の戦いが始まる。
そんな折、和江の元に一本の電話が届く。
それは、窮地に立たされた息子を名乗る男からの、震える声だった。
「……母さん、助けて。百万円必要なんだ。じゃないと俺、クビになる……」
「結構です。どうぞ警察へ突き出してください。甘えるんじゃないよ」
一分の迷いもなく、和江は愛するはずの息子の未来を切り捨てた――。
それは残酷な裏切りか、それとも究極の慈愛か。
定年退職を迎える母親が、最後に仕掛けた「命懸けの教育」。
その真意が明かされるとき、あなたの「親子の常識」は塗り替えられる。