あらすじ
第一章・あらすじ
――心の謎と、はじまりの名前
結城由衣は、小学四年生の少女。
人の心がすれ違う瞬間に、なぜか気づいてしまう子だった。
怒りの奥にある不安。
責める言葉の裏に隠れた悲しみ。
そして、分かっていても踏み込んではいけない距離。
由衣は、何度も迷い、失敗しながら学んでいく。
「分かること」と「救うこと」は同じではない。
答えを出すことが、いつも正しいわけでもない。
ときには、黙って待つこと。
ときには、誰も傷つかない道を探すこと。
そうして少しずつ、由衣は気づいていった。
探偵とは、犯人を見つける人ではない。
人の心が壊れないよう、そっと支える人なのだと。
クラスの小さな出来事の中で、
彼女は初めて「探偵」と呼ばれる。
それは、特別な力を持ったからではない。
考えることをやめなかったからだった。
この名前が、やがて彼女を
家族の問題へ、社会の矛盾へ、
そして“言葉と真実”の世界へと導いていくことを、
このときの由衣は、まだ知らない。
――少年探偵ユイの物語は、ここから少しずつ広がっていく。