あらすじ
名門でも、流行でもない。
選ばなかったからこそ、残った場所がある。
街の片隅で、小さな工房を営む職人シオンと、帳簿と現実を見つめ続けるリリカ。
派手な宣伝も、無理な拡大もせず、ただ「ちゃんと作る」ことを選び続けてきた二人の工房は、いつの間にか人々の日常の一部になっていた。
しかし、再開発と条件変更という現実が、その場所を静かに揺さぶる。
移るか、変えるか、終わらせるか――
迫られる選択の中で、二人が選んだのは「何も変えない」という、最も難しい決断だった。
特別にならなくていい。
成功と呼ばれなくてもいい。
ただ、今日も続いていることに意味がある。
これは、成り上がらない。
ざまぁもしない。
けれど確かに「生き方」を選びきった人たちの物語。
終わらせなかったからこそ辿り着いた、
静かで、確かな完結。