あらすじ
「……これが、国を救う伝説の『天嵐獣』……?」
オース・エルフェン王国の絶体絶命の儀式。召喚されたのは、山をも砕く凶暴な守護獣のはずが――。
現れたのは、泥だらけで毛玉まみれの、ちんまりした茶色い塊。
絶望する王族。勝ちを確信し、嘲笑う敵軍。 だが、王宮の最下層飼育員ジヴだけは、別の意味で怒りに震えていた。
なんて酷い毛並みと肩凝りだ……今すぐ解(ほぐ)させろ!」
前世で『予約10年待ちの天才揉み師』だったジヴには、生物の汚れや凝りが『黒いモヤ』として可視化されるギフト【黄金の指】があった。
ジヴが「たん、たん、たん」とリズム良く指を動かせば、泥は落ち、凝りは消え、伝説の神獣パルゥの真なる姿が輝きだす。 そしてパルゥが立ち上がり、渾身の「威嚇」を繰り出すと――。
「キュ〜ゥ!(だっこ!)」
その圧倒的な可愛さに、敵軍は悶絶して敗走し、銀髪の女騎士は肉球の虜になり、糸目の宰相は国費をパルゥの高級おやつに投じた。
これは、無欲な天才揉み師の青年が、あざとい神獣と一緒に世界を「極上の毛並み」で包み込み、気づけばみんなをとろけさせていく救国ファンタジー。