あらすじ
実家の伯爵家で、魔力なしの恥さらしと虐げられてきたリリアは、十八歳の誕生日、五十年に一度の生贄として北の果てへと追放された。
行き先は、恐ろしい人喰い龍が住まうと噂される、氷に閉ざされたドラグウェル辺境伯家。
死を覚悟して門を叩いたリリアを待っていたのは、冷酷な食害――ではなく、圧倒的な威圧感を放つ銀髪の美丈夫、アルタイル・ドラグウェル。
彼は怯えるリリアを食い殺すどころか、不器用に肉料理を振る舞い、低い声で囁く。
「……お前が役立たずかどうかは、俺が決める。まずは食え」
人喰い龍の噂に隠された、ドラグウェル家の“真実”を知らぬまま――
絶望の果てに辿り着いたその場所は、彼女にとって思いがけない楽園だった。
これは、家族にすら疎まれた令嬢が、
最も恐れられた辺境の地で、ただ一人愛され、価値を見出されていく物語。