あらすじ
かつて世界を混沌に陥れた男――ルードラ。
長い封印の果てに、彼は女神から使命を与えられる。
それは、
未来の英雄となる子供たちの“心”を救うこと。
女神の力によって、
ルードラは時代を超えて、各地へと送られる。
そこで出会うのは、
傷つき、怯え、孤独を抱えた幼い英雄たち。
最初は使命として関わるだけだった。
だが、共に過ごし、守り、笑い、支えるうちに、
子供たちは彼を慕い始める。
「ルー兄」
「おじさん」
「一緒にいて」
ルードラにとっても、
それは初めて得た“居場所”だった。
しかし――
永遠に一緒にいることは許されない。
子供の心が立ち直り、
自分の力で前へ進めるようになった時。
ルードラは、必ず悟る。
――これ以上そばにいれば、この子の邪魔になる。
そして彼は、何も告げないまま、
静かに別れを選ぶ。
姿は薄れ、
声は届かなくなり、
最後に残せるのは、ほんの一言だけ。
「……お別れだ」
泣き叫ぶ子供を背に、
ルードラは時の彼方へと消えていく。
次に目を覚ます場所は、
かつて封印されていた闇の空間。
そこには女神が待っている。
「お疲れ様です」
ルードラは、いつも同じことを尋ねる。
「なぁ……あいつは、ちゃんと英雄になったか?」
女神は答える。
彼が去った後、
その子がどんな人生を歩み、
どんな戦いを乗り越え、
どんな英雄になったのかを。
それを聞いた時だけ、
ルードラは小さく笑う。
「……そうか。よかった」
満足した彼は、
また次の時代へと送られる。
出会っては別れ、
愛されては失い、
それでも誰かの未来を守り続ける。
これは――
世界を救う物語ではない。
誰かの人生の“支え”になって、
静かに去っていく男の物語。
そして、
別れを選び続けることでしか、
人を守れなかった男の物語。