あらすじ
――青年は、如何にして最悪の妖怪(ゴースト)になったのか。
夜空に吹く血風と乱れ咲く火花。絢爛剣戟の中垣間見る、美貌の女流剣士。
彼女は名を失い、帰るべき「向こう側」から押し出された此岸の亡霊――忌遁者(ランナウェイズ)だった。
凡庸を絵に書いたような青年・言守子東雲灑慈は、亡霊に好かれる霊媒体質に悩まされる生涯を、かれこれ二十五年送っていた。
剣戟の夜に出会った忌遁者――「円花(まどか)」と名付けた彼女は、灑慈といることで存在を保証する「不冥契約」によって消滅を免れている状態であり、奇妙な同居生活が続いていた。
そんな二人は、あるとき同じく忌遁者を守護として従える者と出会う。
彼らは自らを「暁星」と名乗り、世界に変革と、そして停滞した時代の終焉をもたらそうとしていた。
灑慈はその勧誘を前に、円花と共に思案するが――しかし、その時点で彼の決意は八割ほど決まっていた。
「縄だけじゃあ、幸福は守りきれねえんだ。敵を殺す、棒がいる」