あらすじ

王としての冷徹な判断と親としての僅かな情が天秤にかけられ、そして音もなく傾く。彼はゆっくりと羊皮紙に署名を走らせ、乾いた音を立ててペンを置いた。 「よかろう。アリオ・グリンフィローを辺境伯に叙し、南方の未開拓領域の統治を命じる」 「ただし彼に付ける人員と物資は最低限のものに限る」 「賢明なご判断です」 「人員につきましては、王都の牢獄で燻っている罪人崩れの傭兵や、食い詰めた職人たちを見繕っておきました。彼らならば、アリオの供として相応しいでしょう」 「お前の手回しの良さには、時として空恐ろしさすら覚えるわ。……下がれ。アリオには私から伝える」 「はっ。弟が新天地で健やかに過ごせるよう、私も祈っておりますよ」 テオドールは恭しく一礼したが、その口元には抑えきれない勝利の笑みが張り付いていた。

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カクヨム2026/01/30
  • 現在の作品第2皇子のおっさん辺境開拓記