あらすじ
白井翠は幼馴染・巳藤和真とともに穏やかな学生生活を送っていた。いつも一緒に過ごす二人に、友人・結人、陽向も加わり、笑い声の絶えない日々が続いていた。翠の16歳の誕生日、ささやかな祝いの延長で軽い気持ちで試した「こっくりさん」。その最中、なぜか翠だけが、背筋をなぞるような妙な違和感を覚える。その遊びに引き寄せられた怨霊をきっかけに、学園内で凄惨な怪奇現象が連鎖し始めた。
最初は、夢の中に現れ始めた影。次に交通事故の惨劇、資料室の血まみれ掌形、校舎で蠢く肉塊地縛霊…。現実と悪夢の境目が曖昧になっていく中、原因を突き止めようと、和真の大きな手が翠の手首を強く握る。「和真が傍にいる」。その存在だけが心の支えだった。だがふたりは、これまでにない絶望の淵へと追い込まれていく。翠は和真を助け出そうとして誤って刺してしまい、呆然としたまま歎願する翠の目の前で、漆黒の金粉アゲハ蝶が舞い上がり、銀狼の聖獣が咆哮と共に覚醒する。
異形を血肉ごと断罪したその存在は、やがて白銀の少年「紺」として姿をとり、紺の右頬には赤い鳥居が刻まれていた。血の匂いが残る空間で、紺は翠の頬を指先で撫で、「傍にいたい」と甘く囁く。対する和真は、嫉妬に震える瞳で紺を睨みつけ、「俺だけでいいよな、翠」と低い声で言い放つ。翠×和真の執着溺愛×紺の魅惑の甘えが織りなす三角関係の熱が、怪異に揺らぐ学園をじわじわと焦がし始める。
一方、課外授業で拾った鈴をきっかけに、同級生の川崎由奈に異変が起こり始める。それは、翠自身も忘れていた過去の一端と、和真が誰にも知られたくない秘密の匂いをはらんでいた。鴉の群れに追い詰められ、逃げ場を失った翠を救ったのは、白い僧衣に錫杖を鳴らす謎の男。その存在もまた、翠の運命に深く関わっているらしい。
やがて、学園内では《カレイド》という謎のアプリが瞬く間に流行し、画面の向こうに吸い込まれるように、生徒たちが次々と姿を消していく。そんな中、鳳城高人が伽羅の香りを漂わせながら翠の顎を持ち上げ、「…欲しくなる」と囁き誘惑していく。一方で、カウンセラーとして赴任した伏見千夜は、柔らかな笑みで和真を絡め取るように誘惑し始める。二人はそれぞれの思惑で翠を欲し、鳳城は和真の心の隙を利用して「契約」を迫ってくる。そして翠の運命を翻弄するかのように、千夜がその前に立ちはだかり、和真は自我を留めきれず、自分自身を見失っていく。
《カレイド》の背後で暗躍する二つの影は、翠という「依代」を巡り、天秤の均衡を保ちながら、世界のあり方すら量ろうとしていた。翠はまだ気づいていない。大切なものは、姿を変えても確かにそばに留まり続けていることだけを胸に、その天秤の中心に立っていることを――。