あらすじ
信仰が法律の地下帝国――カレンデュラ教国。
聖書の一節ひとつで、命の価値も、罪の形も、正義の意味も決まる世界だ。
孤児の少年バルサは、教国の“犬”として生き延びてきた。
仲間と呼べる存在に支えられながらも、彼の毎日は「殺せ」「従え」「疑うな」で塗り固められていく。
そんな中、第一王子リグナムが“奪われた”。
王位からも家族からも追放された王子を巡って、教国と連合軍、そして地下都市の影が動き出す。
バルサは連合軍の隊長ドロトと手を組み、神殿、寺院、賭場、スラム――あらゆる場所を潜り抜けながら、ひとつの計画に踏み込んでいく。
それは、宗教を「壊す」のではなく、宗教に縛られた世界を「ほどく」ための作戦。
旧聖書、改竄された教義、転生と罪――信仰の根を揺らす真実を掴み、戦争を終わらせる。
けれど、信仰は人を救うだけじゃない。
“忠義”はときに、もっと残酷な形で人を縛る。
バルサが守りたいのは、世界の正しさじゃない。
失ったはずの誰か、帰る場所、そして「人であること」そのものだ。
――祈りが刃になる世界で、少年は選択し続ける。
自分の身体も、心も、物語の重みも、契約の代償も抱えながら。