あらすじ
彼氏だと思っていた男に、
「不細工と付き合うわけないだろ。金と都合がよかっただけだ」
そう言われて捨てられた。
顔を否定され、存在を否定され、
自分が信じてきたものまで壊された夜。
宮坂透子(二十二歳)は、「顔を変える」という選択をする。
復讐でも、成り上がりでもない。
ただ、このまま何も変えられずに生きる方が、怖かった。
整形後、世界の態度はゆっくりと、しかし確実に変わっていく。
視線、距離、声のかけられ方――
今まで触れなかった「選ばれる側」の現実。
その流れの中で、透子は芸能事務所にスカウトされる。
だが、そこは夢を肯定してくれる場所ではなかった。
事情はいらない。努力も語るな。
求められるのは、ただ「ここに立つ理由」だけ。
新人マネージャーの朝霧は、守らない。救わない。
それでも、透子が崩れそうになる瞬間を、見逃さない。
怖いまま立つ。
過去を売らず、被害者にもならず、
結果で自分の席を取る。
これは、
顔を変えた少女が「偽物」になる物語ではない。
否定された過去も、選んだ沈黙も引き受けたうえで、
“自分はここにいていい”と、
自分自身に証明していく物語。