あらすじ
高校生の相沢廻には、秘密があった。 それは、右目の奥で硝子を砕くように意識を凝らすことで、時間を「一秒」巻き戻せる能力。
彼はその力を使って、自分の周りの世界を完璧に調律していた。 幼馴染の結衣が笑い、誰も傷つかない、理想的な日常。
けれど、完璧な「現在」を編集するたびに、廻は自分自身の感覚を失っていく。
失敗を消せば味覚が死に、誰かの涙をなかったことにすれば色彩が剥がれ落ちる。
自分の人生が空っぽの硝子細工に変わっていく中、廻は一人の転校生と出会う。
銀色の髪をなびかせ、決して他者と交わろうとしない少女・空乃奏。
彼女は、廻がやり直しの果てに捨ててきたはずの「汚れた時間」のすべてを知っていた。
「その右目で、次は何を殺すつもり?」
美しくも残酷な夏。やり直しのきかない十三日間。
偽物の幸福を買い続けた少年が、すべてを失った最後に見つける「本当」とは――。