あらすじ
雑居ビルの片隅で、トレンチコートに身を包み「孤高の探偵」を演じる男、神宮寺蓮。
その実態は家賃滞納ギリギリ、主食は特売のチョコバーという不運な男だ。
そんな彼の結界を土足で踏み荒らすのは、近所のカフェ店員で自称助手の結城さくら。
平和な日常は、一通の招待状によって一変する。それは十年前、神宮寺の父を破滅させた伝説の宝石『人魚の涙』を巡る、復讐の宴への誘いだった。
舞台は猛吹雪に閉ざされた孤絶の洋館『スノー・ベル・ホテル』。
電話線は切断され、次々と宿泊客が犠牲になる中、神宮寺は冷徹に犯人を追い詰めようとする。
しかし、隣にいるさくらの甘い香り、無邪気な信頼、そして命を狙われる彼女への焦燥が、彼の探偵の仮面を剥ぎ取っていく。
「いいか結城。これは遊びじゃない、事件なんだ」
「うん。だから、私のことは神宮寺くんが守ってね?」
論理で割り切れない恋心と、逃げ場のない密室殺人。
果たして神宮寺は、最愛の助手を守り抜き、十年前の真実を解き明かすことができるのか。
名探偵(?)の矜持をかけた、史上最も甘くて不運な推理劇が今、幕を上げる。