あらすじ
社会人になり数年が経つ香坂深夜は、凍えるような冬のアパートで、希望の見えない空疎な日々を繰り返していた。暖房も使えない困窮した生活の中、降り積もる大雪に自らの「真っ白で何も見えない人生」を重ね合わせる。
そんな彼の脳裏に蘇るのは、高校時代の同級生・**冬野灯火(ふゆの とうか)**の姿だった。かつて「中身のない人生になったら諦める」と語った彼女は、ある日を境に忽然と姿を消し、今もなお行方不明のままとなっている。
テレビから流れる彼女のニュースを拒絶するように消した深夜は、独りごちる。もし彼女が傍にいてくれたなら、この飢えも虚無感も抱かずに済んだのではないか――。募る絶望がいつしか「諦め」へと変わっていく中で、深夜はかつての彼女の言葉を、痛切なまでの共感とともに噛み締める。