あらすじ
翠の死を自分のせいだと信じている論は、人を愛することをやめた。
誰とも深く関わらず、感情を向けず、ただ必要な距離を保って生きている。
そんな論の目に映る蓮兎は、軽薄な遊び人だった。
男女を問わず関係を持ち、特別な相手を作らない。
喪失感を埋めるように笑い、誰にも本心を見せないその姿を、論は嫌悪し、距離を取っていた。
蓮兎が論に興味を示してからも、論の態度は変わらない。
近づこうとする蓮兎を拒み、信用せず、軽蔑すらしていた。
しかしある出来事をきっかけに、蓮兎は論の過去を知る。
愛する人を失い、自分を責め、心を閉ざしてきたその生き方が、
かつての自分と重なって見えたのだ。
「同じ道を歩いてきたなら、放っておけない」
それまでの距離の取り方をやめ、蓮兎は初めて、真剣に論と向き合うことを選ぶ。
遊びではなく、軽さでもなく、ただ一人の人間として。
その変化に、論は戸惑いながらも心を揺さぶられていく。
拒んできたはずの感情が、少しずつ動き始めていた。
これは、喪失から逃げ続けた男と、喪失を抱えたまま笑い続けた男が、
互いの存在によって、呪縛をほどいていく恋の物語。