あらすじ
<人魚伝説をテーマに書いた、泡のように消えゆく、一つの儚い恋物語>
これは遠い昔の御伽噺。人里離れた深海の底には人魚達がひっそりと慎ましく暮らす国がありました。
人魚達の暮らす国では許可された者以外、地上で暮らす人間達と関わることは禁忌とされ、危険を及ぶ存在として人間達を恐れていました。
ですが、深海の図書館司書の一人、アーリアは違います。島巡りを通じて人間達から手厚い歓迎を受け、人間の優しさや賢さに触れたアーリアはただ一人、とても人間達を好意的に見ていたのです。
いつものように図書館に入り浸る妹のアクアに人間との交流を話すアーリア。
そうしてアクアもまた、アーリアの影響を受けて地上への憧れを抱いていきます。
しかし、人魚の国の女王、セイレーンは人間に恋焦がれ、浮足立つアーリアの身を案じて交流を中断するよう言い渡します。
これに反発したアーリアをついに人魚の国を離れ、地上へと向かい、帰らぬ人となってしまったのです。
それから時が経ち、残されたアクアは未だ胸に宿る人間達との出会いを夢見て、アーリアの行方を捜して、ついに深海を飛び出すのでした。
前途多難な地上へと向かう道のり。
甘く切ない恋の調べ。
不老長寿の源たる人魚の肉。
真実を覆い隠す祭壇の匣。
たとえ籠に閉じ込められても、恋焦がれ、駆け出したくなる衝動。
憧れていた人間達と交流する中でアクアはやがて、人と人魚が恋に落ちてはならない、悲しい生命の神秘をすることとなるのでした。
これは真実を求め、人間と人魚が恋に落ちた先にある、甘く切ない聖なるラブストーリー。
※本作品は立藤夕貴様主催、アンソロジー本「海に消えゆく、その前に」に寄贈させて頂いた「海」がテーマの短編小説です。
※本作品はリツカ様オリジナル曲「Mermaid」の世界観から一部、着想を得て作り上げました。