あらすじ

Aは人が本当に幸福かどうかを第三者の視点から数値化し、必要に応じて人生に介入する仕事をしている。 依頼者本人の言葉は信用せず、生活習慣や態度、会話の癖といった客観的なデータのみを基準に幸か不幸かを判定する冷静な観測者だった。 ある日、Aが担当することになったのは「幸福になりたい」とはっきり口にするBという人物だった。 Bは不幸ではないが幸福でもない曖昧な状態にあり、Aはその判断のもと、Bの人生に小さなズレを与える介入を行う。 人間関係を調整し、都合のよいEという存在を配置することで、Bは一時的に幸福と判定される状態に至った。 しかしその幸福は長く続かず、Bは安定した幸福を与えてくれるEから離れ、不安定だが自分で選んだ関係へと戻っていく。 与えられた幸福を拒み、傷つく道を選ぶBの姿を観測する中で、Aは初めて自分の仕事の意味に疑問を抱いた。 幸福とは外部から設計し、代行できるものなのか。 そう問いを立てたAは、そもそもなぜ自分自身が幸福でも不幸でもない状態に留まり続けているのかと考えるようになる。

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カクヨム2026/01/28
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