あらすじ
異世界に召喚された人間たちは、勇者として選別され、国々に売買されていく。
その中で、能力を測れず「売れ残り」と判断された転移者――は、管理者の手によって処分も利用もされず、世界の片隅へと放り出された。
――は戦わない。
力を振るわず、英雄になることも拒み、ただ静かなスローライフを望む。
辿り着いた小さな村では、彼が来てから魔物が寄りつかなくなり、「何も起こらない日常」が続くようになる。
その異常な平穏はやがて噂となり、王国や兵、壊れかけた転移者たちを引き寄せていく。
――は導かず、命じず、答えも与えない。
ただ“そこに在る”だけで、人と世界の歯車を静かに狂わせていく。
この物語は、世界を救う勇者の物語ではない。
戦わない最強が生み出す「居場所」と、それに集まる壊れた人間たちが、やがて選択を迫られていく物語である。