あらすじ
「ファーストペンギンはね、勇気あるものなんかじゃない。泥塗の押し付け合いの末に、蹴落とされた弱者なんだって。
それでね、ファーストペンギンは生き残る確率が1パーセントしかないんだって」
物語は、ある一匹のペンギンから始まる。
彼の名は「███」。南極に生まれたアデリーペンギンである。
彼は言った。ファーストペンギンになると。しかしなれなかった。怖気付いてしまったからだ。代わりに妹が死んだ。彼は泣いた。涙は波に打ち消されたけれど……。
そして彼は妹と同じ死因で、その生を終えた。
第2生は人間だった。███は天才で、将来は約束されたも同然だった。
しかし彼には本当になりたいものがなかった。
そのうち考えよう、今は期待を裏切らないでいよう。そう考えて80歳。彼は偉大なる学者として、その生を終えた。
最後まで、彼はなりたいものが分からなかった。
その後も第3生第4生と繰り返して言った。
でも、なりたいものになることはなかった。全ての人生が、全て中途半端なまま終わってしまった。
彼はそのうち分からなくなってしまった。
生きる意味について、自分について……。
そして彼は目覚めた。沢山の、前世の夢から。
そこは――――――。
人生の意味を問う。生きる意味を問う。
苦しいか、悲しいか。
しかしどうせ100年後には死んでいる。
ならば、この人生を謳歌してはみないか。
――これは、そんなお話。