あらすじ
「この世から、闇を葬りたいの」 「約束して。私が闇に呑まれそうになったら、助けて。私も、あなたを命がけで守るから」
先進国一国の経済規模を凌駕する巨大企業合議体「3プラス5」。 彼らが設立した国際警備企業「Vanguard Strategic Defense(VSD)」は、圧倒的な軍事力をもって、契約国から「国内治安組織を除くすべての武力」を放棄させることで、新たな世界秩序を提示した。
そんなVSDの幹部士官学校《Vanguard Strategic Academy》に、二人の異才がいた。
一人は、6年間学生主席の座を一度も譲らぬ「氷結の人形」、リリア・シュタイナー。 もう一人は、一部の教授陣から熱狂的な支持を受ける、予測不能の戦略家「狂瀾の道化師」、レイランド・マクシミリアン。
相容れないはずの二人は、卒業を控えた全卒業生参加の総括大演習《Vanguard Zenith Protocol》において、全軍を統括する統合戦略司令官として刃を交えることになる。
リリアは鉄壁の正統派戦術で王者の道を行き、レイは核兵器すら駒とする欺瞞に満ちた奇策で彼女を追い詰める。 仮想戦場という極限状態の中で、二人は知る。自分を終わらせ、自分と並び立ち、自分の命を預けられるのは――世界でただ一人、目の前の宿敵だけであることを。
これは、既存の「愛」という言葉では縛ることすらできない、究極の絆の物語。 互いを唯一無二の存在と認め、お互いのために命を捨てることを躊躇わない「誓約」を交わした二人は、やがて世界を支配する深淵なる闇へと足を踏み入れていく。
「愛」に辿り着くには、まだ早すぎる。 しかし、彼らの「命」は、すでに自分だけのものではなくなっていた。
――双弓の守護者。その戦いの序章が、今、幕を開ける。