あらすじ

水気を多く含んだ雪が降り始めた夜、主人公は数年ぶりに届いた一通の手紙に導かれ、かつて深く関わった“先輩”に呼び出される。 大学時代、二人は奇妙で親密な関係を築いていた。授業で偶然声をかけられたことをきっかけに、先輩は主人公の日常に自然と入り込み、同じ席に座り、食事に行き、家に入り浸り、生活を共有するようになる。恋人ではないが、恋人以上に互いの存在が生活の中心となっていた。 しかし先輩の卒業とともにその関係は突然断ち切られ、主人公は社会人となり結婚し、先輩のことを思い出すこともなくなっていた。そんなある日、先輩からの手紙が届き、主人公は指定された場所へ向かう。かつて宝探しのように導かれたショッピングモールの屋上庭園。そこには、あの頃と変わらぬ仕草で雪を仰ぐ先輩がいた。 先輩は、主人公の“足音”だけでその日の気分や出来事を理解していたと語り、共に過ごした三年間がどれほど特別だったかを静かに告げる。主人公はその想いを受け止めながらも、既に別の人生を歩んでいる自分を自覚する。二人は再会の喜びと、取り戻せない時間の重さを噛みしめながら、雪の降る夜に並んで立つ。 やがて雪は頬で溶け、春の気配が近づいていることを知らせる。過去と現在が交差する中、二人はそれぞれの季節を胸に抱きながら、静かに新しい一歩を踏み出そうとしていた。

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小説を読もう2026/01/28
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