あらすじ

高校二年生の相羽遥は、学校での人間関係の息苦しさと、心配ゆえに重くなっていく家庭の空気に耐えきれず、不登校の末に高校を中退する。すべてをリセットしたつもりだったが、居場所を失っただけの日々が始まり、遥は強い挫折感と無力感の中で引きこもるようになる。 ある夜、家にいられなくなった遥は近所の公園で、生まれたばかりの子猫と出会う。助け方が分からず、コンビニで買った餌を置いて「ごめんね」と立ち去ったことが、遥の心に深く残る。翌朝、思い切って地域の保護猫カフェに連絡したことで、元教師の結城沙耶と出会う。学級崩壊の挫折を経験した沙耶は、遥を叱らず、導かず、ただ寄り添う大人だった。 保護活動を通じて、遥は「声を上げられない存在」が社会の中で簡単に切り捨てられている現実を知る。同年代の少年・朝倉恒一や、かつて救えなかった命を背負う沙耶との関わりの中で、遥は通信制高校へ進学し、少しずつ自分の声を取り戻していく。 やがて、動物保護をめぐる行政の壁に直面した遥は、政治が遠い世界ではなく、自分たちの生活と直結していることを知る。選挙活動に関わることで社会の厳しさと不公平を実感した遥は、学び直しの末、市議会議員選挙に立候補する決意を固める。 これは、声を失った少女が、声なき命と向き合いながら、自分の言葉で社会に立ち向かうまでの、静かで力強い再生の物語である。

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エブリスタ2026/01/27
  • 現在の作品声なきものと、声を持たない私