あらすじ
「僕たちだってお前が大事だよ」
荒野を、三人の男が旅しています。ひとりは大荷物を背負った、背の高い召使い。あとのふたりは、小柄で、よく似た顔をした双子の主。
日に焼かれ、風に吹かれ、低い茂みと刺々しい樹のあいだを歩きながら、三人は他愛のない言い合いをして、笑って、また歩いていきます。
けれどこの荒野では、人と吸血種のあいだに、当たり前のように越えられない線が引かれています。
これは『帰れなかった者』の旅の話。
■登場人物
◆エルディン
双子に仕える人間の召使い。背が高く痩せぎみで、荷物持ち兼世話係。ぼやきながらも手は止めない性分で、双子に対して妙に遠慮がない。日差しと風に削られた身体で、今日も仕えている。
◆アシュル
小柄な双子の片割れ。よく喋るほう。金色の目に白い髪、黒い肌を持つ吸血種。好奇心旺盛で、面白いことが好き。エルディンの世話を受けるのが当然だと思っている。
◆アシェル
もうひとりの双子。主に頷いているほう。アシュルとそっくりだが、少しだけ静か。考えていないようで、実はいろいろ見ている。エルディンの世話を受けるのが当然だと思っている。