あらすじ
東京、丸の内。皇居を見下ろす「黒き巨塔」、桐島重工業。
そこは絶対君主・桐島源三が支配するジャングルだった。
「図面通りに作っていたら納期に間に合わない」。
豪傑・黒田専務の怒号が飛び交う工場では、強度データの改竄や、不適合品を合格にする「特採(トクサ)」が常態化していた。
一方、管理部門は「DX化」を名目に現場を監視しつつ、裏では神エクセルで300億円の粉飾決算を行っていた。
広報部・雨宮慶介は、議事録のトリックで事故を隠蔽し、腐敗の深淵へと足を踏み入れる。
鉛筆を舐める検査員、ISO審査の茶番劇、そして起死回生の血判状。
往年のロック・クラシックスに乗せて贈る、全35話の企業戦国絵巻。
【人物相関・組織図】
■ 頂点(将軍)
桐島 源三: 代表取締役社長。老害化した絶対君主。「私の決定がルールだ」。
■ 取締役会(全12名)のパワーバランス
社長派(イエスマン):4名
思考停止しており、社長の顔色だけを伺う長老たち。
黒田派(事業部):3名
黒田(後に降格)と、彼を慕う事業本部長たち。
明智派(管理部):3名
明智と、人事・総務担当役員など。
中立・社外:2名
お飾りの社外取締役。
■ 事業部門(豪傑)
黒田 剛: 専務執行役員(後にヒラ取締役)。
特徴: 雨宮の議事録テクニック(爆発を「急速な熱膨張」と言い換えた)を気に入り、懐に入れる。現場のKKD(勘と経験)を愛するが、コンプライアンスは無視する。
■ 管理部門(知能犯・DX推進)
明智 光一: 専務執行役員 財務本部長(CFO)。
特徴: 「現場の職人はデータを生まないコストだ」と断じ、強引なDXとAI導入を推し進める。
罪: セル結合と非表示行だらけの**「神エクセル」**を作成し、監査法人を煙に巻いて粉飾決算を行っている。
■ 工場(現場の悲哀)
ベテラン溶接工(源さん):
雨宮の父を知る古参。「AIは『7箇所』でいいと言うが、俺の勘なら『20箇所』打たねえと振動で割れる」と主張し、管理部と対立する。
工場長(明智の犬):
タブレット入力の徹底を監視し、生産性を落としている元凶。
■ クーデター派
真田 昌幸: 執行役員 経営企画室長(取締役会にはオブザーバー出席)。策士。
雨宮 慶介: 広報課長代理 兼 社内報担当。
スキル: 「議事録の魔術師」。都合の悪い事実(爆発、失敗)を、美しいビジネス用語で「成果」に書き換える能力を持つ。
桔梗: 社長秘書(元エンジニア)。神エクセルの論理破綻を見抜く。