あらすじ
49歳、独身。IT派遣エンジニアのツチヤの日常は、ドブのような泥沼だ。
パワハラ上司・宮川には「死ねよマジで」と罵倒され、サービス残業と慢性的な五十肩に耐える日々。彼の唯一の生存戦略は、現実を「リソース稼ぎ」と割り切り、スマホゲーの美少女に数百万を注ぎ込み、夢の中で最強勇者として無双することだった。
「死ね、宮川。全員消えろ」
心で呪詛を吐きながら、安い日本酒で意識を飛ばす夜。夢の中では、現実で憧れる正社員のサキちゃんまでもが、スマホゲーのヒロイン・ジュジュやヒトミと共に、自分を奪い合うハーレムが待っている。
だが、三つの世界を完璧に切り分けていたはずのツチヤの精神は、限界に近い労働とアルコールによって、少しずつ境界を失い始める。
「これは夢か、現実か、それとも課金の幻想か――?」
しっちゃかめっちゃかな世界の中で、底辺おっさんが最後に掴み取るのは「否定の涙」か、それとも――。