あらすじ
引きこもりの日本人が異世界へと転移し、
そこで一人の哲学者的な魔術師と出会う。
魔術師は漢字に強い興味を抱き、
引きこもりからそれを学ぼうとするが、
教えは断片的で、不完全なものだった。
こうして魔術師は、
漢字を意味としてではなく、
形、構造、象徴として誤解したまま受け取り、
それを用いて詩を書くようになる。
本作は、
人間が直面する根源的な恐怖――
宇宙の真理に触れられないこと、
自らの弱さ、混沌、そして死――から始まり、
それらから身を守るために人が築いた
文化、都市、階層、秩序が、
やがて別の苦しみを生み出していく過程を描く。
そして最後に、
もともと不完全で痛みに満ちた世界そのものと向き合い、
それでもなお、
遠くにあるかもしれない「より良い場所」を
信じるかどうかという選択が残される。
ここに並ぶ文字は、
正しく理解された言葉ではない。
異世界の知性が、
誤解した漢字を通して世界を見つめた痕跡である。
意味は読まれない。
ただ、形として見られる。