あらすじ

最終校了前夜。 同僚の名前を、うっかり下の名前で呼んでしまった瞬間――彼(彼女)は一瞬だけ“戻った”。 けれど代償は、静かで残酷だった。 席札が白くなる。チャットの発言が抜け落ちる。変更履歴の修正者欄が「—」になる。 仕事は確かに進んでいるのに、そこにいたはずの「僕」だけが、記録から削れていく。 名字で呼べば安全。 下の名前で呼べば、距離が戻る。 ただし呼ぶたびに、僕の証拠が消える。 「恋愛禁止」の空気の中で選んだ“名字”の距離。 それでも、今夜だけは――呼び切りたい。 証拠が残らなくても、名前だけは嘘にならない。 消えていく記録の向こうで、二人が選ぶ、たった一度の呼び名の物語。

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カクヨム
カクヨム2026/01/27
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