あらすじ
33歳のタケシは、うだつの上がらないパチプロ。明治大学経済学部を入学後3日で中退して職を転々としていた。30歳をすぎ、タケシの周囲のニート仲間たちも定職に就き家族を持ち始めた。そんなある日、バイト先を探すため求人情報誌を眺めていると、「金融トレーダー募集」の広告を見つけた。基本給15万円プラス歩合制だという。ギャンブラーとしての血が騒ぐタケシ。
タケシが入社した「ウルフ証券」は営業マンとして成績の良い順にトレーダーに昇格する仕組み。タケシは持ち前のナンパテクニックでおばさまたちをたくみにひっかけ、お年寄りには孫キャラを演じ売り上げをぐんぐん伸ばして行った。そして、ついにトレーダー昇格。
しかし、現実はそう甘くはなくすぐに成績不振でトレーダーをクビになった。トレーダー成績ナンバーワンの、56歳の、通称「おばちゃん」、ミカの指導を受け徐々に上達していくタケシ。
「トレンドが出ている相場に乗りなさい」。ミカおばちゃんのアドバイスを受けてタケシはコロナの暴落相場、その後の大規模財政出動による反発相場を経験して、何とか資産1億円を達成した。ラウンジでナンパした25歳ラウンジ嬢で簿記2級を持つ商業高校卒業のユリエとともに独立して、ヘッジファンド「ソフィスト」を設立した。
コロナ相場を経て、マーケットは次第に材料不足となり、硬直化して動きがなくなっていった。ミカおばちゃんとは連絡を取り合っていたが、おばちゃんは「こういう時はいっさいトレードしないのが正解よ、タケシ。タイミーで日雇いバイトでもしている方がよほど生産的で儲かるわ」。
タケシはとりあえず、警備員と食品工場の日雇いバイトを始めた。月収16万円くらいだが、久しぶりにモニターとにらめっこする生活から離れ、意気揚々と日雇いバイトに従事した。資産は2億円はある。ユリエにも近所のスーパーにパートに出てもらい、2人は東京都江戸川区の4000万円で購入したマンションに住んでいた。
おばちゃんも今は端境期でほぼトレードはしておらず、タケシやユリエと頻繁に会って今後の戦略を練っていた。おばちゃんは、「とにかく、こういう時期は焦っちゃダメ。相場が動き出すまで何年でも待つべきよ。2人で旅行にでも行ってらっしゃい」。