あらすじ
出動するのは、町の消防団。
彼らはいつも通り現場に向かい、火を消している――はずだった。
だが主人公は、出動のたびに説明できない違和感を覚える。
サイレンが鳴る前に目が覚めること。
現場に着いたとき、すでに火が“待っていた”ように感じること。
そして、鎮火後の焼け跡に残る、
次の火事を示すかのような不自然な痕跡。
初めての現場で、主人公は炎の中に「人影」を見る。
それは逃げるでも助けを求めるでもなく、
ただ消防団の到着を待つように立っていた。
この章は、
放火事件として始まった物語が、
少しずつ「人の理解を超えたもの」へと傾き始める入口である。
主人公はまだ知らない。
この町で鳴るサイレンが、
救助の合図ではなく“呼び声”であることを。