あらすじ
【町役場 記録管理課 公認アーカイブ】
この町には、争いも、悲しみも、未解決の事件も存在しません。
なぜなら、不都合な過去はすべて「誤記」として校正されるからです。
新しく移り住んだあなたの孤独も、
誰にも言えない痛ましい傷跡も、
ここでは「なかったこと」にできます。
思い出せないのは、あなたが健康な証拠。
考えようとすると頭痛がするのは、適応の兆候。
記憶を支える日記や写真は、私たちが適切に回収・処分いたします。
何も持たず、何も覚えず、ただ用意された「平穏」を受理してください。
あなたの人生は、今日から台帳の記述通りに進行します。
「記録に間違いはありません。私の記憶が、間違っていたのです」
当町への転入、心より歓迎いたします。
――現在、町内に異変は確認されておりません。