あらすじ
気が付けば俺は、地球でもゲームの世界でもない“中間層”――異世界ギルド酒場『るすと』に転移していた。そこは冒険者が集う酒場……のはずなのに、なぜか視界にはHUDが浮かび、頭の中には無機質な音声ガイドが響く。しかもこの世界の神は人格神ではなく《神権AI》。登録した瞬間から、毎日「クエストノルマ」が課せられ、達成できなければ段階的に重くなるペナルティが待っているらしい。
クエストの正体は“ゲームを冒険としてこなすこと”。本体でゲーム世界にダイブして戦うもよし、ギルド内から遠隔操作で挑むもよし――遊んでいるようで、失敗すれば本当に命が危ないブラック仕様だ。
そんな中、ただのインターフェイスだったはずの案内役が、物語序盤で一瞬だけ「人の姿」を得て現れる。
「私は、本来……ここに立てないはずなのに」
名乗ろうとした名前はノイズに消え、それでも彼女は告げた。
「またすぐお会いしましょう、マスター」
ギルドに自動生成され続ける大量のクエストは、誰が、何のために生み出しているのか。
ほのぼの酒場の日常と、ゲーム世界での冒険(とノルマ消化)を重ねながら、俺は“この世界の仕組み”そのものに踏み込んでいく――AIの神と、人の心の境界線へ。