あらすじ
王国騎士団長の父と魔法師団長の母の間に生まれたジンク・クラッドは両親から教えを受け、周囲からは剣と魔法を極めた勇者の称号が与えられると期待されていた。
しかし訓練をいくら積んでも剣の腕前は父のような達人に至らず、魔法は母のような無尽蔵には到底及ばなかった。
ジンクは生まれた日に教会で洗礼を受けたが、ただ1つとして加護を授かることがなかったのだった。
12歳で教育機関に通い、文武ともに主席となったが、達人級の剣術と容易に周囲を圧倒できる魔法を放ち、数えきれないほどの加護を得た者に勇者の称号が与えられた。
それでもジンクは腐ることなく訓練に励んだ。
その後ジンクは騎士となり日々魔物との戦闘を余儀なくされていた。
永遠に続くかとも思われた戦争のさなか、勇者が魔王を討伐したとの報告が届いた。
世界が魔王討伐の喜びに包まれる中、ジンクは青く澄んだ空を見上げふと考えた。
国のため、人のためと戦い続けてきたが魔王が倒され、平和になった世界で俺はこれからどうすればいいのだろうか。
ぷつぷつと気泡のように湧いて出る思いがあった。
賢帝が治める多種族の国がある、城下町はどのような雰囲気なのだろうか。
危険だが美しい山がある、山頂はどのような眺めなのだろうか。
無限に続くかのような花畑がある、どのような香りなのだろうか。
他国では様々な魔物が調理されているようだ、どのような味なのだろうか。
そして果たしたい、ただ一つの願い。
今まで溜まっていた思いが溢れ出し、ジンクは走り出していた。
そうだ、平和になった世界を旅しよう!
これは魔王がいなくなった世界を巡るお話し。
さあ、旅を始めよう。
世界の広さをこの目で確かめに。