あらすじ

眩い朝日に祝福されたはずの、転校初日。  不和鈴江(ふわ・すずえ)を待っていたのは、宇宙の底に放り出されたような、冷たく孤独な教室の空気だった。 「誰の記憶にも残らないように過ごそう」  そう決めた彼女の机に届けられたのは、隣席の少年・西郷(さいごう)くんからの、小さなメモ用紙。 一枚の紙のやり取りから始まった交流は、やがて放課後の並木道で「魔法の夜空」を見つけるほどの特別な絆へと変わっていく。 けれど、お伽噺のような時間は、夏休みの直前に告げられた「西郷くんの引越し」という唐突な別れによって、呆気なく幕を閉じた。 彼が消えた夏休み。 喪失感に沈む鈴江の前に現れたのは、彼と同じ香りのする一匹の赤いトンボだった。 これは、孤独の淵にいた少女が、不思議な出会いと眩い光の記憶に導かれ、世界との繋がりを見つけ出すまでの、再生の物語。  ――たとえ、すべてが夢だとしても。 あの日、私には確かに光が見えていた。

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カクヨム
カクヨム2026/01/26
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