あらすじ
コーヒーの香り。
舌に残る辛さ。
波打ち際で揺れる光。
電車の音。
指先に残る温度。
恋が終わったあとも、
触れなかった言葉や、伝えきれなかった想いは、
五感のどこかに、静かに残り続ける。
この短編集は、
別れと再会をテーマにした五つの恋の物語です。
元恋人と再会したカフェ。
伝えられなかった想いを抱えたままの同僚。
旅先の田舎で偶然目にした、もう戻らない日々。
心変わりを音だけで知った駅のホーム。
そして、触れなかった過去にようやく触れる再会。
日常の中の一瞬と、
そのとき確かに感じた感覚だけが描かれます。
誰かを強く責めることも、
はっきりとした答えが出ることもないけれど、
それでも、人は前に進いていく。
これは、
触れなかったものたちを、
そっと見つめ直すための物語です。