あらすじ
大学の民俗学ゼミで発表されたのは、
「首のすげ替えによって人格の同一性は継承される」という異様なレポートだった。
教授・門倉は、ジョン・ロックの自己同一性論を引き合いに出しながら、それを論理的にも倫理的にも否定する。人は部品ではなく、死を工程として扱うことは許されない、と。
だが夕刻、誰もいなくなったゼミ室に、あの学生が再び現れる。昼間の議論は、まだ終わっていなかった。
――問題になるのは、断絶だけ。
哲学的思考実験が、現実の「検証」に変わるとき、何が同一で、何が失われるのか。
思考の続きを描く、哲学ホラー。