あらすじ
「癒しの炎」の魔法を操る魔女、フィルフレイラは、「時」を操れる母の魔法を受け継げなかったことに、いつも劣等感を感じていた。悔しくて、恥ずかしくて、情けなくて、いつも涙を流すフィルフレイラに、母は呪文のように毎回言った。
『こんなにも美しい炎は、きっと人生において滅多に見られるものではないの。自信を持ちなさい』
挫けながらも、大切な両親に支えられながら平和に生きてきたフィルフレイラだったが、ある日、突如村が原因不明の病に襲われる。その病は、「魔女だけ感染しない」疫病だった。その病を発端に、世界で「魔女狩り」が始まる――。
父親は疫病で死に、魔女狩り対象となった母とフィルフレイラは、人間達から必死で逃げたが、母はフィルフレイラを逃すために囮となり、火炙りにされた。一人で無我夢中で逃げ延び、死に物狂いで生き延びたフィルフレイラが、人類最後の魔女となった時……すでに三百年が経過していた。
人間が人情深くて、愛情深くて、慈しみを持っていることを十分理解している。でも、深くて濃い憎しみを消すことが出来ない三百年間。そんな葛藤を抱きながら、フィルフレイラは一人孤独に生きていくことを決めた。
何にも縛られることのない、すがすがしく好き勝手にいられる青空に、届かない憧憬を抱きながら――……。